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英文作成の技法・文献紹介:The Science of Scientific Writing

英文作成の技法を説明した The Science of Scientific Writingという記事を見つけたので、備忘のためにメモ。著者の一人 George D. Gopen は、Duke Universityの英文学の Associate Professor である一方、同大学の文章作成プログラムの運営責任者を務めるが、同氏は Havard Law School を卒業した法学士でもある。もともとネイティブの科学研究者向けの記事ではあるものの、ノン・ネイティブの弁護士にも有益
 
  • まずは、主語と動詞の関係。
    Readers expect a grammatical subject to be followed immediately by the verb. Anything of length that intervenes between subject and verb is read as an interruption, and therefore as something of lesser importance.
    読者は、主語の直後に動詞が続く文章を読み易いと感じる一方、主語と動詞の間に入る記述を読み取りの障害と認識しがちであるという。
    長大な主語を用いることの少ない日本語話者にとって、比較的、馴染みやすいルールである。私たちにとっては、聞き取りの場面で、主語が長い一文や主語の直後に動詞が続かない一文があると、内容把握が困難であることが多い。ネイティブ・スピーカーが英文を読む場合であっても同様ということだろう。
    この原則を説明する英文自体に Anything of length that intervenes between subject and verb という比較的長く感じられる主語が入っているのはご愛嬌。。

  • ストレス・ポジション
    It is a linguistic commonplace that readers naturally emphasize the material that arrives at the end of a sentence. We refer to that location as a "stress position." If a writer is consciously aware of this tendency, she can arrange for the emphatic information to appear at the moment the reader is naturally exerting the greatest reading emphasis.
    読者は文章の末尾を「ストレス・ポジション」として重要な情報が置かれる場所と受けとめる傾向があり、強調したい情報を末尾に置くことで、読者に対して強調したい事柄を自然に伝えることができるという。
    あまり意識していなかったが、薄い言葉を末尾に置いて文章を終えた際に、落ち着かなかったことはある。文末には、時を表す語句を入れたり、under the Japanese regulations といった副詞句を入れることも多いので、常に末尾に強調したい情報を入れるのは難しいが、参考になる。

  • トピック・ポジション
    The information that begins a sentence establishes for the reader a perspective for viewing the sentence as a unit: Readers expect a unit of discourse to be a story about whoever shows up first. ... Readers also expect the material occupying the topic position to provide them with linkage (looking backward) and context (looking forward).
    読者は、一文の冒頭「トピック・ポジション」に登場する情報によって、その一文を一つの固まりとして捉える傾向があり、また、「トピック・ポジション」に登場する情報が以前の情報と繋がることを期待しているという。これは、日本語であっても、論理的なつながりを意識して書こうとすると、似たような傾向があって馴染みやすい。

  • 新情報と旧情報の位置
    When new information is important enough to receive emphasis, it functions best in the stress position. When old information consistently arrives in the topic position, it helps readers to construct the logical flow of the argument: It focuses attention on one particular strand of the discussion, both harkening backward and leaning forward.
    新しい情報が重要であれば、 ストレス・ポジションに置いて強調するべきであるし、古い情報がトピック・ポジションに登場してそれ以前の文章と連関していれば、読者は論理的な流れを理解することができるという。

  • 動詞の活用で文章構造を明確に
    Readers expect the action of a sentence to be articulated by the verb. ... If the actions are not to be found in the verbs, then we as readers have not secondary structural clues for where to locate them.
    英語の動詞は、無生物主語の構文のように、日本語にない英語特有の表現がある印象。したがって、心掛けようとしても意外に難しいが、前回のブログ記事で触れた the program will involve a moderately high degree of risk といった英語的な言い回しが良い例で、こうした英語的な言い回しのストックを着実に増やていくべきだろう。

これらのうち、新情報と旧情報の位置に関しては、NASAジェット推進研究所に勤務する小野雅裕氏の続・英語下手が英語圏で勝ち抜く策 MITの試行錯誤で見つけた、英語力の磨き方(下)という記事に説明がある。また、実際にこれらの原則を当てはめて科学論文を添削したサンプルが幾つか The Science of Scientific Writing に載っているので、ご興味のある方はこの原典にあたられるとよいかもしれない。